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生豆選びと味わいの関係について

美味しさの探求
生豆選びと味わいの関係について
コーヒーの栽培地域の分布
コーヒーの木は熱帯植物であり、コーヒーベルトと呼ばれる赤道をはさむ南北約25度(北回帰線と南回帰線)のエリアで主に栽培されています。
また、降水量が多く、かつ水はけがよいこと日中の寒暖差が大きい方がより良質なコーヒーが収穫されることから、1,000m以上の高地で栽培されることが多く、 下の世界地図でも示すように主要な生産国は比較的近い地域に集まる傾向があります。
近い地域の生産国は比較的味わいの傾向が似ており、栽培地域がコーヒーの味わいに大きな影響を及ぼすことがわかります。

各生産国には独自の格付け(統一されていない)が存在し、その基準は@標高Aスクリーンサイズ(生豆の大きさ)B欠点数(不純物の比率)Cスクリーンと欠点数、など様々です。 個人的には標高は味わいに差を与えると考えていますが、スクリーンサイズはそれほど大きな違いにはならない印象です。 欠点数も日本に入港されているものは生産国の現地のものに比べてかなり基準が厳しいので、影響はないとは言えませんが気にしすぎるほどではないように思います。

コーヒーの生産地域
コーヒーの植物学的分類について
コーヒーの木の植物学的分類もコーヒーの味わいに大きな影響を及ぼします。
コーヒーはアカネ科のコフィア属に属する熱帯植物で、コフィア族には数多くの品種が含まれますが、 最も有名なのがアラビカ種、その次がロブスタ種(正確にはカネフォラ種)です。
アラビカ種はエチオピア原産で、華やかな品質が広く好まれ世界各国で生産されていますが、病害虫に弱いという欠点を持ちます。
ロブスタ種アラビカ種のような風味の華やかさには欠けますが、病害虫に強く収量も多く効率的であるため、缶コーヒーやインスタントコーヒー等安定的にボリュームが必要なものに使用されています。
また、最近ではアラビカ種ロブスタ種をかけあわせたことで『ハイブリッド種』が、品質を比較的落とすことなく病気にも強いということで増加しています。
コーヒーの精選方法について
コーヒーチェリーをコーヒー生豆へと精選していく際の方法もコーヒーの味わいに大きな影響を及ぼします。
大別すると非水洗式(ナチュラル)水洗式(ウォッシュド)の2つになります。
非水洗式は伝統的な手法で収穫してきたチェリーを乾燥させた後、果肉やパーチメントと呼ばれる殻を脱殻する方法です。 乾燥していく過程でも果肉が豆についている状態なので、良くも悪くも特徴が強い個性的なコーヒーに仕上がります。 また、抽出液にも少しとろみが出る印象があり、非水洗式のコーヒーには独特の柔らかさがあるといえます。

水洗式ははじめに果肉と粘液質を除去した後、乾燥させて最後に脱殻を行う方法です。 各工程において水を使用することが多く、そのため石や木など不純物や過熟果実や未成熟果実などが取り除かるので、 水洗式で精選されたコーヒーは欠点が少ない傾向があります。一方で、非水洗式に比べて設備に費用がかかります。 水洗式の場合は、果肉等が乾燥工程に入る前に除去されているため、すっきりとした味わいのコーヒーに仕上がります。 良く言えば飲みやすいコーヒーに仕上がり、悪く言えばコーヒー豆本来の個性が薄まっているといえます。
主要生産地域の特徴について
2014年の日本のコーヒー生豆の国別輸入量
ブラジル
世界一の生産国は、みなさんもご存知かと思いますが、ブラジルです。特徴的な地形をしており、 コーヒー豆の輸出港であるサントスから1時間ほど車で走ったサンパウロの町ですら標高800mあるなど、 ブラジルは少し内陸部に行くと高地が広がる台地型の地形をしています。そのため、非常にコーヒーの栽培に適した地形、気候といえます。 標高が高く、かつ平たい台地型であることから、機械化も進んでおり、他の生産国に比べて効率的かつ大規模な生産が可能となっており、 その圧倒的な生産量もうなずけます。
ブラジルでは伝統的に非水洗式の精製が行われておりますが、近年では徐々に水洗式やセミウォッシュドと呼ばれる方法のものも増加してきています。
ベトナム
近年、ロブスタ種の生産地として急激に生産量を伸ばしているのが、ベトナムです。 それまで、ロブスタ種の生産地といえばインドネシアでしたが、インドネシアがハリケーンの影響などで生産量を落としてからは、 日本におけるベトナムからのコーヒーの輸入量が急速に伸びています。
ベトナムのロブスタ種は、一般的に缶コーヒーやインスタントコーヒーの原料に使われることで知られています。
コロンビア
コロンビアマイルドというコーヒー取引上の分類用語があるほど、アラビカ種の水洗式のマイルドコーヒーで知られる生産地域です。 個人的にはクセのないすっきりとしたクリーンな酸味がコロンビアの豆の特徴だと思います。ただ、良質の豆でボディもしっかり しているため、ハイローストからシティローストまで焙煎すると、しっかりとした濃厚なコクが出るため、飲みやすいコーヒーに仕上がる印象です。 植物学としてのコーヒー研究も盛んな国であり、かつて病虫害に苦しんだ経験からも、病気に強い様々な「ハイブリッド品種」を生み出しています。
インドネシア
かつてはロブスタ種の最大生産国といった印象でしたが、近年はベトナムにその座を奪われている印象です。 ただ、ロブスタ種の中でも良質な(私見ですが)ロブスタ種が収穫されることもあり、根強い人気を誇ることも事実です。
一方で、スマトラ島の一部地域では『マンデリン』と呼ばれるアラビカ種でありながら、比較的酸味が少なく柔らかい甘みが特徴の コーヒーも収穫されることで有名です。また、『コピ・ルアク』と呼ばれるジャコウネコの糞から採られる未消化のコーヒー豆も 独特の強い香りとその希少価値から高い人気を誇ります。
グァテマラ
中米は一つ一つの生産国が小さな国であるため生産量自体は少量ですが、単品でも美味しく飲める良質のコーヒーの生産地域です。 グァテマラは中米コーヒーの代表的な存在であり、コーヒー愛好家の方にはグァテマラが好きという方も多いのではないかと思います。 酸味とコクのバランスもとれ、かつ香りやいい意味で印象に残るクセを持つコーヒーが多く、個人的にも好きな生産国です。
エチオピア
コーヒー発祥の地といえば、エチオピアです。エチオピアではコーヒーの木が自生しており、民家でもコーヒーが収穫できると 聞いたことがあります。さすが発祥の地。
エチオピアの豆はモカという名称で知られ、モカフレーバーという言葉があるようにエチオピア周辺の豆は独特の甘い香り (個人的には良い意味で発酵したような香り)が特徴で、最近ではワインフレーバーとも呼ばれるようです。 ちなみにモカの名前は輸出港である「モカ港」からつけられていますが、モカ港はイエメンに位置します。
豆選びのこだわり
スペシャルティコーヒーのような特殊な豆とは異なり、ブレンドに使用される豆は価格を維持しつつ、 安定的な味わいが提供出来ることを最優先に考えています。
そのため価格が高騰している時などは、味わいが変わらないのであれば、多少スクリーンサイズ等を落としてでも 販売価格を維持することを心がけています。
高級とされるコーヒー豆とは異なり、一般的に使用される生豆だからこそ
求められる味わいと価格のバランスを追求します。
 
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