コーヒーと挽き目の関係には、『コーヒーの味わいと挽き目の関係』と『抽出方法と挽き目の関係』の2パターンを考える必要があります。
まず、コーヒー学として重要な概念となる『コーヒーの味わいと挽き目の関係』について、次にその応用例である『抽出方法と挽き目の関係』
について解説していきます。
コーヒーの味わいと挽き目の関係
コーヒーの味わいと挽き目の関係は単純に言えば、粗い挽き目(粒子の大きな挽き目)にすれば酸味が強くなり、細かい挽き目(粒子の小さな挽き目)にすれば苦味が増します。
これにはコーヒーに含まれる苦味成分と酸味成分の大きさが大きく影響します。
具体的には、酸味成分は小さな成分であり、挽き目の大きさに関わらず一定量が抽出されます。一方で、苦味成分は酸味成分に比べて大きな成分であるため、挽き目が粗くなると
コーヒー粒子の外へ出てコーヒーの液体へと抽出されるまでに時間がかかっていしまいます。
そのため、挽き目を粗くすると苦味成分の抽出される量が減少し、酸味を強く感じるようになり、挽き目を細かくすると苦味成分も酸味成分に負けずに抽出されるようになるため粗い挽き目に比べて苦味を
感じるようになります。
抽出方法と挽き目の関係
コーヒーの味わいに対して挽き目が与える影響は上で説明した通りですが、実際には抽出する方法によって
推奨される大体の挽き目は決まっています。
フレンチプレス等のように抽出方法に使用する器具の物理的な制約によって挽き目が決定する場合もあれば、
ペーパードリップ等のように推奨されている挽き目があるだけで好みに合わせて、幅広く挽き目を変えることが可能なものもあります。
細挽き
極細挽きとされる挽き目ほどではないですが、弊社の中では最も細い挽き目です。
極細挽きの場合はパウダー状と表現されるほどの細かい挽き目ですがそれよりも少し粗い挽き目にしています。
ペーパードリップなどの抽出方法で使用すると苦味もさることながら、エグミや雑味も多く抽出されてしまいます。
高温、高圧、短時間で抽出するエスプレッソマシンの為の挽き目といっても過言ではないかもしれません。
適した器具
エスプレッソマシン
中細挽き
最も一般的に使用される挽き目で、グラニュー糖よりやや粗い程度でしょうか。
ハイロースト〜シティローストにかけての焙煎度合いで最も酸味と苦みのバランスが取れる挽き目といえます。
布やペーパーで濾すタイプの抽出方法では問題ありませんが、メッシュのフィルターを通す抽出方法ではこのメッシュのサイズよりも小さい粒子であるため、
液体に粉が混ざってしまうので、使用には適しません。
適した器具
コーヒーメーカー、ペーパードリップ、ネルドリップ、サイフォン
粗挽き
粒子のサイズはザラメくらいの大きさ。
上でも説明したようにフレンチプレスなど浸漬法の抽出方法に向きます。
また、オンラインショップで販売している水出しアイスコーヒーの挽き目は中細挽きと粗挽きの間くらいです。
理由はコーヒーの粉を溜めておくストレーナー部分のメッシュが粗く、ある程度粗くしないと抽出液に粉が混ざってしまうため。
また、粉を多めに使用してペーパードリップで淹れると雑味の少ないすっきりとしたコーヒーが楽しめます。
適した器具
フレンチプレス、ペーパードリップ、ネルドリップ
上記の内容に加えて、粉を挽いた際の粒度分布もコーヒーの味わいに影響を与えます。
粒度分布というとやや小難しい話のようですが、簡単には、コーヒー豆を粉にした際にどのくらい微粉が発生しているか、とかどのくらいちゃんと粉砕されずに本来望んでいるよりも大きな粒子のものが混ざっているかというものです。
一般的には、家庭用で販売されているプロペラが回転することで粉砕していくタイプのミルはこの粒度分布が大きく、粉の挽き目のバラつき
が大きくなるため、コーヒーの味わいがやや不安定になる傾向があります。
一方で業務用のミルは高価な分、そうした粒度分布が小さくなるような仕組みのものになっているため、鮮度は多少落ちることになりますが、
粉の均一性という点では、業務店で粉を粉砕してもらう方がより良いといえます。